※若干のネタバレを含みます。
今回紹介するのはホラー小説です。
いや、ホラーというよりミステリーでしょうか。
ミステリーのようなホラー、ホラーのようなミステリー…うーん、ジャンルの説明が難しいですが、とりあえず幽霊は出ます。
『踏切の幽霊』 高野和明 著 文藝春秋
幽霊が出てくるのなら、ミステリーじゃないんじゃないの? と思われるかもしれません。
というのもミステリー小説にはタブーというものがありまして(ノックスの十戒などが有名)、超自然的能力や存在を登場させてはいけないんですね。
ですがそれは古典などの本格ミステリーでの話。
そういうものがあるという前提で、それを活かした設定を作るのはアリです。
ただこの作品では、本当に幽霊がいるのかどうか最初のうちはわかりません。
通常のミステリーであれば、ここからいかに超常現象に見せかけたトリックを見破るかという話になってくるわけですが…。
読み進めるうちに、だんだん幽霊が本物だという可能性が高くなっていきます。
~冒頭のあらすじ~
主人公は出版社に勤務する女性週刊誌の記者で、今回担当するのは心霊ネタ。読者から送られてきた、下北沢の踏切で撮影された心霊写真を調査することに。
踏切に出る幽霊ということで過去の列車事故を疑うが、該当するものはゼロ。しかし近くで殺人事件が起こっていたことが判明する。
被害者は身元不明の女性で、この女性が何者なのか調べていくうちに不可解な現象に遭遇し…。
本編はこんな感じで始まりますが、プロローグとして電車の運転手視点の描写があります。
その運転の描写がいちいち細かくて、鉄道オタクでもない人には読みにくいのですが、そこを過ぎてしまえば読みやすいです。
うめき声の入った電話がかかってきたり、殺人犯が呪われるといったシーンもありますが、基本ミステリーテイストで淡々としています。
そんなに怖くないしグロくないので、怖いのが苦手な人にもおすすめです。
複雑なトリックもなくてわかりやすいですしね。
それに反してラストは、ハッピーエンドなのかバッドエンドなのかわからない、純文学のようなもやもやした感じで終わりました。
エモいといってもいいのでしょうか。
とても面白い内容だったので、興味を持った方はぜひ読んでみてくださいね。
